さんぽ日和

翻訳者・翻訳コーディネーターが日々の散歩中に考えたことを書いています。家族のこと、仕事のこと、自分の身の回りで起きたこと、いろいろなことを考えながら歩いています。

翻訳が上手くなりたい

理想とする翻訳ができなくて落ち込むことがよくある。

自分の訳文を読んで、すーっと入ってこない。まずここでため息が出ちゃうけど、なるべく早く気を取り直して、そんなことになってしまった原因を探ってみると、たいがい、原文の理解に不安が残っているか、原文の内容を訳文に上手く反映できていないかのどちらかだ。基本中の基本。でも、考えれば考えるほど、それが翻訳のすべてだと思う。

 

原文を正しく理解するには、英文法を理解しておくことも、背景知識を蓄えておくことも大切だけど、何より常に自分の解釈に疑問を持つことが大事な気がしている。思い込みというのは本当に厄介で、たいていの場合、自覚がないままにやってしまうから危ない。原文を自分の中に取り込むときはどこまでもどこまでも謙虚に。

 

そうして理解した内容を訳文にするのが、これまた本当に難しい。原文が透けて見える訳文では、たぶんゴツゴツしすぎてすんなり飲み込めない。でも、いくら飲み込みやすくても中身が本来のものと違ってしまっては翻訳ではなくなる。とはいえ、オリジナル言語とターゲット言語の間には性質的にも文化的にも多かれ少なかれ違いがあるはずだから、まったくの等価にすることなんて無理があるわけで・・・・・・(こうやって言い訳ばかり並べたくもなるほど難儀だ、ということを主張しています)

 

何年も前から、同じような壁に繰り返しぶつかっては、落ち込み、投げやりになり、でもまたヨロヨロと立ち上がって進んできた気がする。

悲壮感が漂ってしまっていますが、翻訳が好きでたまらないのです、本当に。だからこそ、思うようにできなくて真面目に凹むんだと思う。

 

翻訳者として目指したいのは、原文が伝える内容を極力そのままの形で訳文に映し出すこと。当然、単なる情報を伝えるのではなく、読み物としての品質の面でも極力原文に近づけたい。

とてつもない離れ業だと思うけど、そのためにやれることはまだまだある。日々それをコツコツとやっていくのみ、と自分に言い聞かせて今日も頑張ります。