さんぽ日和

翻訳者・翻訳コーディネーターが日々の散歩中に考えたことを書いています。家族のこと、仕事のこと、自分の身の回りで起きたこと、いろいろなことを考えながら歩いています。

翻訳コーディネーターとは?

2年くらい前から翻訳案件のコーディネーションを任せてもらう機会が増えて、最近は「翻訳者・翻訳コーディネーター」という肩書きをぶら下げている。

 

この仕事、実際にやってみて初めて気付いたことがたくさんある。総じて言えることは、翻訳者として外から見ていた印象よりも、気苦労の多いハードな仕事だということ。

もし今、初対面で「翻訳コーディネーターをしています」と言われたら反射的に抱きつきたくなるくらい、この道の方にはすっかりシンパシーを感じている。

 

ある側面では運動部のマネージャーのような仕事だなと思う。

部活というシチュエーションで具体的に思い浮かぶのは、掃除や洗濯、お茶出しくらいだけど、実際にはもっともっとやることがあるはずだ。要は、ブレイヤーがプレーに集中できるように環境を整える役割を担っていると理解している。

 

翻訳コーディネーターが、原稿を整えたり、用語集やスタイルシートを作ったり、スケジュールを調整したりするとき、常に念頭にあるのは、「翻訳者が翻訳に集中できるように」、「クライアントが対応しやすいように」ということ。やはり“プレイヤー”の環境を整えることを目指して動いている。

 

それじゃあ、翻訳コーディネーターというのは裏方でしかないのかというと、そんなことはない。

ここぞという場面では表に立って交渉に挑むこともある。私が尊敬するコーディネーターの方はみな、ときには自ら矢面に立つというような、男前な覚悟を持ち合わせている。ここが運動部のマネージャーと違うところかもしれない。

 

無茶苦茶なクライアントにははっきりきっぱりNO!を言う。

ちゃんと仕事をしない翻訳者がいたらビシバシお尻をたたく。

 

ある意味で、プロジェクト全体の行く末を決めるような重要な役割を担っていると言える。

踊る大捜査線』の和久さんのような、主役じゃないけど絶対にいないといけない人。超シブいじゃない!

 

現実では、理想どおりに動けないジレンマと日々格闘している私だけど、そんな風に誇りを持ってこの仕事をしていこうと思う。

 

たまにふと考えるのだけど、

優秀な翻訳者がクライアントから指名を受けるように、翻訳コーディネーターも翻訳者やクライアントから指名されるってことあるのかな。

 

「誰がやっても同じ」ではなく、「この人のコーディネーションのもとで仕事がしたい」と思ってもらえるようになろう。